近代『篠ノ井』の生みの親『津�ｱ尚武』

胸像の裏には以下の文が刻まれていた。
津�ｱ尚武先生は明治十五年鹿児島県に生れ、明治四十二年東京帝国大学法学部を卒業し長野県属兼警視を経て俊英二十七才を 以て更級郡長として着任せらる。先生は教育文化産業経済交通衛生等の各般に亘る革新的郡行政を推進するのみでなく、郡立 更級農学校の興隆に貢献せらる。殊に交通不便に加えて千曲川河畔に拠る水害に伴う郡役所移転問題を現在地に解決をみたの は先生の先見的英断と政治的手腕の賜物である。洵に当地方今日の発展の基礎はこの時に築かれた。先生在郡五年にして県理 事官学務課長等を歴任して大正九年から昭和二十一年まで国会議員或いは厚生政務次官として国政に参与せらる。先生性至誠 にして豪放磊落、常に国を憂え人を愛し生涯信念に生き当地方の発展を念ぜらる。その風懐また世の鑑というべきである。こ こに郡市民相謀りて先生の胸像を建設し其の功績を称え後世に伝える。
昭和三十六年五月三日
津�ｱ尚武先生胸像建設委員会委員長
篠ノ井市長　柳澤勲撰文並書

公式的にはそうなのであろう。ただ、私が（あるいは一般の篠ノ井市民が）『津�ｱさん』の名前を意識するのはなんといっても、 篠ノ井駅前通りと旧郡役所（のちに県更級地方事務所→県消防学校→県篠ノ井保健所→現長野県埋蔵文化財センター）を結ぶ道が 津崎町（つざきちょう）と呼ばれていることによる。（ちなみに地名としては�ｱではなく、崎が用いられるようだ）
津崎町は郡役所が現在の埋蔵文化財センター篠ノ井整理棟の位置に建設された時、駅前通りから道を開き、津�ｱ尚武郡長の名を とって付けたという。

碑文にもあるように津�ｱさんは、後年国会議員となり、国政にも参加したとのこと。地元鹿児島では「西に 床次あれば東に津�ｱあり」と称されという。（床次は床次竹次郎内務大臣のこと。津�ｱは鹿児島一中の特待生で、大隈で活躍して いたことによるらしい。）
鼻顔稲荷があるのも津崎町。

<参考文献>
大谷利一著『篠ノ井の歴史と暮らし』龍鳳書房,平成6年

<追補>
と以上のことを書いたあとに、津崎さんが鹿児島県根占出身であり、その生涯を紹介した本もあることを教えていただく。
著者の田島さんから、お手紙や著作をいただいて、津崎さんの詳しいことがだいぶわかってきました。長野市南部図書館（篠ノ井） にも、関連資料があるようなので、また別項にて詳しく書きたいと思います。
田島一保著『根占の人物シリーズ�A　雄川の彩（ひかり）　花と華』斯文堂出版,指宿市,平成8年
根占町ホームページ

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